深く内省的な歌詞と、重層的なサウンドが人気のザ・ナショナル。
そんな彼らのおすすめの曲を紹介したいと思います。
The Nationalとは?
The Nationalは、アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティで結成されたインディ・ロックバンドです。バンドは、マット・バーニンガー(ボーカル)、アーロン・デッサー(ギター、キーボード)、ブライス・デッサー(ギター、キーボード)、スコット・デヴェンドーフ(ベース)とブライアン・デヴェンドーフ(ドラム)の5人で構成されています。
1999年に結成されたThe Nationalは、初期の頃は地元のシンシナティで活動していましたが、その後ニューヨーク・ブルックリンに拠点を移し、徐々に注目を集め始めました。バンドは2001年にセルフタイトルのデビューアルバム「The National」をリリースしましたが、当初は商業的な成功には至りませんでした。
転機が訪れたのは、2005年にリリースされた3rdアルバム「Alligator」で、バンドは批評家から高い評価を受け、インディーロックシーンで名声を確立しました。続く2007年の4thアルバム「Boxer」はさらに評価が高まり、多くのベストアルバムリストに名を連ねました。
2010年のアルバム『High Violet』は、彼らにとって最大の商業的成功をもたらしました。収録曲「Bloodbuzz Ohio」などはアンセムとなり、全米チャートでも上位にランクイン。
その後も進化を止めず、2017年の『Sleep Well Beast』では、エレクトロニックな要素も大胆に取り入れ、見事グラミー賞「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞」を受賞。結成から約20年を経て、名実ともにアメリカを代表するロックバンドとしての評価を不動のものにしました。
2013年に6thアルバム「Trouble Will Find Me」をリリースしました。
2017年に7thアルバム「Sleep Well Beast」をリリースしました。本作はグラミー賞の最優秀オルタナティブアルバムにノミネートされ、バンドの地位をさらに高めました。
2019年に8thアルバム「I Am Easy to Find」をリリースしました。
2023年に9thアルバム「First Two Pages of Frankenstein」をリリースしました。
The Nationalは、独特の歌詞やエモーショナルなサウンドで知られており、時代を超えた普遍的な魅力を持ち続けています。彼らは世界中で多くのファンに愛されており、現代のインディーロックバンドの中でも特筆すべき存在となっています。
The Nationalのおすすめ人気曲、代表曲、アルバム
Beautiful Head (収録アルバム:The National)
記念すべきデビュー・アルバムのオープニング曲。後の彼らの特徴となる重厚なメランコリーはまだ薄く、カントリーやガレージ・ロックの影響を感じさせる荒削りなサウンドが新鮮です。若々しいエネルギーと、マット・バーニンガーのバリトン・ボイスの原石が垣間見える一曲。
About Today (収録アルバム:Cherry Tree – EP)
映画『ウォーリアー』で使用されたことでも有名な、静謐で感動的な名曲。シンプルなアコースティック・ギターのリフレインから始まり、徐々にドラムが加わって感情が高まっていく構成が見事です。すれ違う恋人同士の距離感を痛切に描いており、ライブではクライマックスで演奏されることも多い重要曲です。
Mr. November (収録アルバム:Alligator)
バンドのブレイクスルーとなったエネルギッシュなロック・ナンバー。「俺はミスター・ノベンバー(11月の男)だ、君を失望させない」と叫ぶ歌詞は、当時の米大統領選(ジョン・ケリー候補)への思いと、バンドマンとしてのプレッシャーが重ねられています。ライブでマットが客席にダイブする定番曲。
Abel (収録アルバム:Alligator)
この曲は、荒々しいギターリフと熱情的なボーカルが特徴的です。歌詞は内省的でありながらも、リスナーに強烈な感情を呼び起こすことができます。
Fake Empire (収録アルバム:Boxer)
ポリリズム(4拍子と3拍子の複合)を用いたピアノのリフが美しい、彼らの代表作の一つ。優雅で知的なサウンドの裏で、アメリカ社会の虚像や現実逃避について歌っています。後半に向けて管楽器が加わり、静かな高揚感に包まれる展開は鳥肌ものです。
Mistaken for Strangers (収録アルバム:Boxer)
ブライアン・デヴェンドーフの精緻でパワフルなドラミングが光る、ポストパンク・リバイバルの名曲。社会的な地位や人間関係に対する不安(インポスター症候群)をテーマにしており、ダークな雰囲気ながらも疾走感があります。夜のドライブに最適な、クールで緊張感のあるトラックです。
Slow Show (収録アルバム:Boxer)
「パーティなんて抜け出して、家に帰りたい」と歌う、内向的な人々のアンセム。「君のことを夢に見たんだ」という後半の歌詞への展開は、彼らの楽曲の中でも屈指のロマンチックな瞬間です。不器用な男の誠実な愛が、温かいメロディと共に心に染み渡ります。
Bloodbuzz Ohio (収録アルバム:High Violet)
故郷オハイオへの複雑な思いと、借金や責任に追われる大人の悲哀を描いた曲。一度聴いたら忘れられない独特なドラムビートと、マットの深みのある低音ボーカルが完璧に融合しています。バンドの職人的な演奏技術とソングライティングの妙が詰まった、2010年代インディー・ロックの金字塔。
Terrible Love (収録アルバム:High Violet)
「海ほどの力がなければ、僕らは壊れてしまう(It takes an ocean not to break)」という歌詞が強烈な印象を残すオープニング曲。ローファイで歪んだギターサウンドと壮大なスケール感が同居しており、精神的な脆さと、それを乗り越えようとする必死の愛が描かれています。
Vanderlyle Crybaby Geeks (収録アルバム:High Violet)
アルバムの最後を飾る、ドラムレスの壮大なバラード。難解な歌詞ながらも、メロディの美しさと合唱を誘う力強さは圧倒的です。ライブの最後にはマイクを通さずに観客全員で大合唱(シンガロング)するのが恒例となっており、ファンとバンドの絆を象徴する特別な一曲です。
Don’t Swallow the Cap (収録アルバム:Trouble Will Find Me)
「僕は一人じゃない」と繰り返し自分に言い聞かせるような、リズミカルでキャッチーな楽曲。アルコールや薬への依存を暗示させる歌詞ですが、サウンドは軽快で前向きなエネルギーに満ちています。複雑な感情をポップな楽曲に昇華させる、彼らの真骨頂と言えます。
I Need My Girl (収録アルバム:Trouble Will Find Me)
シンプルなギターのリフレインが印象的な、バンド史上最もストレートで脆弱なラブソング。マットが妻への思いを赤裸々に綴っており、派手な展開を排除したミニマルな構成が、歌詞の切実さを際立たせています。多くのアーティストにカバーされるなど、広く愛されているバラードです。
The System Only Dreams in Total Darkness (収録アルバム:Sleep Well Beast)
グラミー賞を受賞したアルバムからのリード曲。それまでの彼らには珍しい、歪んだギターソロやファンキーなベースラインが特徴です。政治的な分断と個人的な孤独を重ね合わせた歌詞が鋭く、バンドが新たな音楽的実験に踏み出したことを象徴する力強いナンバーです。
Light Years (収録アルバム:I Am Easy to Find)
シンプルなピアノとストリングスで構成された、美しくも悲しいバラード。「君は光年(Light years)ほど遠くにいる」と、物理的な距離ではなく、埋められない心の距離を歌っています。静寂の中に響くマットの歌声が、喪失感を優しく包み込むようなエンディング曲。
The Alcott (feat. Taylor Swift) (収録アルバム:First Two Pages of Frankenstein)
テイラー・スウィフトを迎えた話題のコラボレーション曲。ホテルのバー「The Alcott」で再会した二人の会話劇のような構成になっており、ノートに想いを書き留めながら、すれ違いや過去の傷を乗り越えて再び心を通わせようとする切ない情景が描かれています。マットの重厚な低音とテイラーの繊細な歌声が互いに呼びかけ合う、映画のワンシーンのように美しく親密なバラードです。
Tropic Morning News (収録アルバム:First Two Pages of Frankenstein)
「ドゥームスクローリング(悲劇的なニュースを見続けてしまう行為)」をテーマにした楽曲。鬱屈とした現代社会の病理を扱いながらも、エレクトロニックなビートと軽快なメロディが救いを感じさせます。言葉で伝えきれないもどかしさを抱えながら、それでも対話を諦めない姿勢に胸を打たれます。
Smoke Detector (収録アルバム:Laugh Track)
サウンドチェック中のジャム・セッションから生まれたという、即興性と熱量に満ちた長尺曲。ポストパンク的な鋭いギターと、マットの奔放で呪術的な語りが絡み合い、カオスな高揚感を生み出しています。完成された美学を持ちつつ、まだバンドが「壊れる」ほどの情熱を秘めていることを証明した傑作です。
まとめ
個人的にまず聞いてほしい曲。アルバム
おわりに
いかがだったでしょうか。
The Nationalは単なるインディーロックバンドという枠を超え、現代の「哀愁」を最も深く、美しく表現する稀有な存在です。
ぜひ聞いてみてください。
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